![]() だいしゅきv |
あー、すっげーほせェ腰。 いい腰してんなァ、やっぱ。おれが後10年としとってたらこの細腰つかんでガンガンやりまくるのによー。 けど、今は今しかできねぇことをやっとくべきだよな。 この無防備っぷりはガキの特権だし、抱きついても撫でても服ン中もぐりこんでも許されんなァ今だけだろ。それに、今から慣らしとくのも大事だしな。 ……噛んでも、許してくれっかな? 怒りはするだろうけどまだ乳歯だしンな痛くないだろ。牽制にはならねぇのが惜しいけど。 にしても、手触りいい肌してんな。ホント、無防備すぎるぜ? まぁおれとしては好都合だけど。 今しかできねぇこと、思う存分やっとかなきゃ損だろ? |
![]() とりっくおあとりーと! |
【はろいん】 違うかった。欲しいのはこんなんじゃなかった。こんなん要らねぇ。 何で、飴なんか持ってんだよちくしょう。 油断させるために、ピコハンを振り回して印象付けてたってのに。 ピコハン持ってはしゃいでたら、十四郎はきっとイタズラを選んでくれるに違いない。そう考えたから十四郎が帰ってくる時間に合わせてハロウィン遊びをはじめたのに。 なのに何で今日に限って菓子なんか持ってんだ。 イタズラにかこつけてあんなことやこんなことやそんなこと……はまだムリだから××なこととかしようと企んでたってのにこれじゃ台無しじゃねぇか。 畜生。こんなことなら風呂のときとかに襲撃するんだった。 まだ、手緩かったってこったろ。分かったよ。 やっぱ、逃げ道は完全に潰さねぇとな。 |
![]() 小学生 |
まだ使えない… |
![]() 母お手製 |
【くりすます前夜】 このサイズだったら、両足でも余裕で入るよな。口の部分も紐で縛れっし、やっぱ市販じゃねぇの頼んで正解だったなァ。ホントは十四郎の躰全部入るくれェのが良かったんだけど、さすがにンなでけぇの欲しがったら怪しいから我慢我慢。どーせこれでマジに十四郎が手に入るわけじゃねぇし、子供騙しなんだからこんなもんだろ。それでも、地道で周到な努力と下準備が肝心だってこたァ分かってっから。だからこうやってちょっとずつ、逃げ道は塞いでいかねーとな。 気付いたときには手遅れなんだって、いつか思い知れよ十四郎。 |
![]() 「しゃんたしゃんが、くりしゅましゅぷれれんとくれたの」 |
【クリスマス当日】 子どもの笑顔でそう云えば、おやさしいオメーは違うと云えなくなるって分かってた。 大方、子どもの純真な心を疵付けることができなくて躊躇っちまうってトコだろ。そこに付け込まれるなんざ、微塵も考えねぇで。普段はつんけんしてんのに、そういうトコは甘ぇよな。ホント、普通だったら命取りになんぜ? その甘さを見せる相手が俺で良かったな十四郎。俺ァテメーの悪いようにはしねェからよ。 オメーを愛してるからな。 |
【クリスマスの夜】![]() おそろいぱじゃま! |
【SIDE 兄】 ひとに対して本気の殺意を覚えたのは今日がはじめてだ。しかも曲がりなりにも親に向かって、そんな感情を抱く日がくるなんざ思ってもみなかった。死ねオヤジ。 今の自分の格好を客観的に考えて、何やってんだと心底思う。俺の手を掴んで上機嫌に飛び跳ねている銀時を見ても喜ぶに喜びきれねェ。 何で、イイ年こいて俺ァこんな格好をしなきゃなんねぇんだ…。 それもこれも、何を勘違いしたんだか分からないが俺にクリスマスプレゼントだと云ってオヤジが銀時とおそろいになるようにペアの着ぐるみ怪獣パジャマを買って帰ってきたせいだ。ハゲて死ねオヤジ。そしてそれを見た銀時が酷く喜ぶものだから、拒絶しようにも気が咎めてできなかった。豆腐の角で頭ぶつけて死ねオヤジ。 セットに含まれていた怪獣ルームシューズまでしっかり履かされて、躰はあったけェのに心はかなり寒ィ。今日はもう早く寝よう。てーか、銀時が一緒に寝たいって騒ぐから嫌でも子ども時間に寝るしかねェ。 ホント、何でこの年になってこんな格好……。 えらくご満悦な顔でオヤジがおやすみと云う。ダンゴ虫に躓いて死ねオヤジ。 |
【SIDE 弟】 やべぇ。ニヤける。たまにゃイイ働きすんじゃねーかオヤジ。まさかこんな思い掛けねェプレゼントが手に入るとは思わなかったぜ。クリスマスさまさまだな。 俺が着る着ぐるみパジャマはどうでもいいが、十四郎が着るとなれば話は別だ。だってこれってアレだろ。釦をちっと外して躰もぐり込ませりゃ寝袋状態で素肌に密着して寝れんだろ。寝惚けたフリしてチチ吸ったりもできんじゃねーの? ンだよ、最高じゃねーか。今夜はイイ夜になりそうだな。 肩を落として歩く十四郎には見えないように、俺は子どもらしからぬしたり顔をフードで隠した。 |