(…なんかすげぇ見られてね?俺…)
休日に息子を構い倒したい父と、通りすがりの兄。
お、十四郎じゃん。こっち来ねーかな。
今日休みなんだしゆっくりできんだろ、こっち来いこっち来い。(念)
……来そうにねぇな。
ったく、こういうとき自由に動けねぇ躰ってのァ不便だな。手前の足で歩き回れたら抱き着いて押し倒してやんのに。
…………よし。俺、早く歩けるようになろ。
がんばるからな。待ってろよ十四郎。
(父親の存在素無視)

(やっぱりすっごい見られてね?)
ちょっ、このゴリ邪魔!!
退けよ俺の十四郎が折角近付いてきたってのに見えねーじゃねぇか!
ったく赤ん坊だからまだ眼ェ悪くて遠くまで見えねぇんだぞ。近くで十四郎のきれーなツラ見せろっつの。誰もゴリなんざ見たかねーんだよ。チッ。
っと、いけね、十四郎が不審がってら。笑顔笑顔。
あー、もう。ゴリ、邪魔。

(父親の声素無視)


(・・・・ええええええええええ!?)

お茶のおかわりをする為に通りがかっただけだった兄。
お、十四郎が戻ってきた。笑顔笑顔。んでもって十四郎のほう向かねーとな。
ふぅ。今の躰じゃ向き変えるだけでも一苦労ってこと、オメー分かってっか? 分かんねぇとは云わせねェけど。
こんだけ労力費やして見詰めて微笑みかけてやってんのに無視するとか、そぉんな薄情なお兄ちゃんじゃねーよな? お前は。
だから、来いよ。遊ぼうぜ、十四郎。

(父親の(以下略))

「…あーなつかしいなぁーコレ……」

ちょっと現実逃避な兄。
【ホワイトディ】




いや俺ってまだ子どもじゃん?
小遣いも貰ってねェし、お年玉じゃ大したもん買えねぇんだよね。それにいきなりマジもん贈られてもビックリするだろうと思ってよ。だから今回は飴にしたんだぜ?
填める指も今は右手の薬指でいいからな。今は、まだ。
この程度で許してやる、心やさしい俺に感謝しろよ?



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